創作の短いお話を書こうと思いました。
イラストとお話をあわせて、続く限り何話かかこうと思います。
タイトルはこころのやわらかいとこです。
夜空ノムコウニの歌詞のなかにある言葉です。


第二十一話

歩く樹


休日の午後、近くの公園に出かけた。
天候もよく、時折涼しい風が通り抜けるような
爽やかな日だった。
様々な人たちが様々にひとときを楽しんでいた。
僕は何気なく緑の樹々を見ていた時、不思議な景色を見た。
手前に見える樹々の上の後側の、
動くはずがないこんもりとした緑の枝葉の固まり一つだけ、
どうやら一本だけが左から右へと移動している。
ゆっくりとゆっくりと。
まわりの人は誰も気付いていない。
樹に顔がついていて まるで絵本の中にでてくるような古木が歩いているようだ。
僕は自分の目を疑い、深呼吸して目を閉じもう一度樹の方を見てみた。
やはり確かに枝葉がゆれてゆっくりと動いている。
僕はいてもたってもいられなくなり、その樹の方へ行ってみた。
しばらくして僕が見たものは、
大きな樹がブルドーザーに乗せられ枝葉を揺らされ移動していた。
公園の植林作業だった。


2001年6月11日