

創作の短いお話を書こうと思いました。
イラストとお話をあわせて、続く限り何話かかこうと思います。
タイトルはこころのやわらかいとこです。
夜空ノムコウニの歌詞のなかにある言葉です。
第三十九話
歌う巣箱

登山に行った。登山といっても
有名な観光地の近く、気軽な感じで歩いていた。
しばらく行くと霧が白いおばけのようにまわりを取り囲みはじめ
僕達は方向感覚を失ってしまった。
山の天気は変わりやすい。
聞いてはいたが一変する様子はふつうではなかった。
見通しのよい場所まで少し歩く事にしようとした時、
近くの木のうえにウクレレが掛かっているのが見えた。
あんなところになぜと思ってしばらく見ていると
鳥がそのウクレレに舞い降り、サウンドホールに足をかけると
そこから小さなひなが顔をだした。どうやら巣箱になっているようだ。
なんとも微笑ましい光景でしばらく僕はじっとしてながめていた。
鳴き声がウクレレの音のように軽やかで爽やか。
何分たったろうか、まわりの霧も消え帰り道も見つかり
目的の場所までなんとかたどりついた。
帰りにもう一度その場所にいこうとしたけれど
行けなかった。
でも行かない方がいいな、と心の中で思った。
2001年7月7日
